本年度はサイリスタ制御直列コンデンサ(TCSC)による軸ねじれ共振現象について検討を行なった。得られた成果を以下に示す。 1)まず、TCSCの周波数特性を解析的に求める手法を確立した。TCSCは直列コンデンサと並列にサイリスタ制御リアクトル(TCR)を設置したものである。軸ねじれ共振の解析にはTCSCの周波数特性が必要であるが、これをシミュレーションによって求めると非常に多くの時間が必要になる。そこで、本研究では連立一次方程式を解くことにより周波数特性を求める方法を導いた。方程式の係数は理論式で与えることができる。シミュレーション結果と比較したところ、非常によく一致することが確認できた。 2)つぎに、TCSCの周波数特性により軸ねじれ共振の解析を行なった。TCSCのサイリスタの点弧は、電圧の零点を基準にして行なう。この方法は零点検出法とよばれている。しかし、電圧をそのまま用いるときと、その基本波を抽出して用いるときとでは、TCSCの周波数特性は大きく異なる。そこで、二つの点弧法についてTCSCの周波数特性から発電機のダンピングトルク係数を求めた。その結果、基本波による点弧のほうが負のダンピングが小さくなり、軸ねじれ共振をより緩和できることが明らかとなった。 以上の検討により、TCSC補償系統における軸ねじれ共振の解析手法およびTCSCの影響をほぼ明らかにすることができた。
|