本年度は基本的な解析手法の開発、ならびにプログラムの作成を行い、下記の成果を得た。 米国、英国など規制緩和の進んだ国々の電力系統について文献調査を行い、現在それについて分析中である。また、久保川(分担者)は電気学会の「電力系統モデル標準化調査専門委員会」に参加し、安定度検証用の標準モデルの作成に尽力している。電力の規制緩和に関連して必要となる周辺サービスのうち最も重要である、系統予備力供給方法について研究を行い一応の成果を得た。 安定度解析プログラムにIPP発電機のモデルを組み込み、その妥当性については検討済みである。さらに、系統運用の柔軟性を維持するために今後導入が予想されるパワーエレクトロニックスを応用した制御機器モデルのうちSVC(静止型無効電力補償装置)を組み込み、後者について妥当性を検証中である。また、安定度の解析は長い計算時間を要するので、多数の想定故障に対する安定度をスクリーンするための簡便かつなるべく正確な評価手法の確立が望まれており、Functional Link Neural Networkを用いた動的セキュリティ評価手法の開発を行い、10機系に応用し良い結果を得ている。 電圧安定度に関して、複数のタップ変圧器の動作が悪影響を及ぼすことがあり、それを防ぐための制御方式の開発を行うと共に、種々の想定故障に対する電圧安定性評価手法の開発を行いつつある。
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