研究概要 |
マイクロ磁気軸受の評価・検討として異なる電磁石構造を有する磁気軸受についての比較検討を行った。実験で用いた電磁石の一つは馬蹄型電磁石であり,もう一つは円柱型電磁石である。馬蹄型電磁石,円柱型電磁石の電流剛性がほぼ0.045N/Aと等しくなるように設計した。また,ロータの回転角度はホールセンサからの出力信号により検出し,ブラシレスモータとして励磁方向を切り替えることにより回転駆動を行った。 磁気軸受の軸方向の特性評価として開ループ特性,閉ループ特性を測定・評価し,馬蹄型電磁石,円柱型電磁石による軸受の特性がほぼ等しいことを確認した。 各電磁石構造においてロータを回転させ,その時の駆動電流に対する動特性評価を行った。蹄鉄型電磁石では,最高約3万rpmと非常に高速で回転した。しかも,3万rpmに到達するのに要した時間は1.2秒と非常に短時間であった。円柱状電磁石ではラジアル方向の剛性が弱いため,約3000rpm以上では回転できなかった。しかし,数ミリアンペアの非常に弱い電流で駆動させることができた。次に,ロータを回転させた後に駆動力を切り,ロータの減衰特性を測定・評価した。その結果,馬蹄型電磁石では2秒以内に高速減衰したが,円柱型電磁石では20秒以上を要した。これは,電磁石とロータ間の磁気的な抗力が原因と考えられた。 以上から,馬蹄型電磁石と円柱型電磁石を用いた磁気軸受間には回転特性に大きな違いが見られ,用途に応じた利用が必要であることが分かった。
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