研究概要 |
送電線の汚損がいし表面を模擬した電解質水溶液面が使用された。電解質水溶液面は,高所を通る送電線のがいしの雰囲気を考慮して密閉容器の中に置かれ,その容器内の気圧は約27kPaから101kPaの範囲で変えられた。印加電圧としては,送電線にしばしば発生する雷サージを模擬した,2/80μsの雷インパルス電圧が使用され,電解質水溶液面に配置された針-平板電極間に印加された。電解質水溶液(塩化カリウム水溶液)の抵抗率は約170Ω・cmから740Ω・cmの範囲で変えられた。電解質水溶液面に進展する局部放電は強い発光を生じる。とくに局部放電の先端部分からはより強い発光がある。そこで,本研究では光電子増倍管で直接に検出される局部放電先端部分の発光強度およびモノクロメータを通して観測される局部放電先端部分のスペクトル発光強度と局部放電の進展速度との関係に及ぼす気圧および電解質水溶液の抵抗率の影響について検討した。その結果,(1)局部放電の進展速度は局部放電のスペクトル発光強度の増加につれて上昇すること,(2)同一のスペクトル発光強度に対する局部放電の進展速度は電解質水溶液の抵抗率の増加につれて上昇すること,(3)局部放電の進展速度とスペクトル発光強度との関係に及ぼす容器内の気圧の影響は非常に小さいことなどが分かった。
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