昨年度の成果を踏まえ、本年度に得られた結果を要約すると、 1. すでに提案してきた平衡点制御では、AVR・GOVを含む動揺方程式の安定・不安定平衡点に注目し、AVR・GOVの各補助制御入力を加えることによって不安定平衡点を安定平衡点から遠ざける、または不安定平衡点そのものを消滅させて、いわゆる安定領域を拡大する制御法としてモデル系統に適用してきた。ただし平衡点の座標は動揺方程式の静的解析で得られるが、電力システムの平衡点を移動させることにより動的安定領域を拡大せることができ、安定化制御の改善に有効な手法となっている。特に (1) AVRリミッタを考慮した1機無限大母線モデル系統 (2) 1機モデル系統による長周期動揺問題 にそれぞれ適用し、シミュレーションでその有効性を検証した。 2. 従来から運転点での線形化に基づいた線形制御理論が適用されているが、発電機の非線形性を積極的に取り扱った提案手法である非線形分散制御の手法をNew England 10機モデル系統に適用し、 (1) 系統の3故障点および各発電機のAVRリミッタを考慮した場合のP-領域法による安定性解析 (2) 30故障点の場合の制御効果 についての検討を行い、複数故障点においても有効であることが分かった。
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