研究概要 |
本研究は,リニアモータ・回転モータへの応用を前提とした永久磁石型分割磁極方式の開発を目的としている。磁極を複数個に分割する理由は,それらの適切な配置によって空間高調波磁束の削減を図ると同時に,同期モータとして有用な制動導体を設けるスペースを確保するためである。本研究においては,磁極側の形状最適化に電磁界数値解析技術を適用し,また,得られた構成の有用性は試作機による実験で検証している。本年度の研究としては,はじめに比較的製作が容易なリニア同期モータを用いて実験を行うことで提案モータにおける諸特性の大要を把握したのち,リニアモータは垂直力と端効果の悪影響が大きいことを考慮して,回転モータによってリニアモータ同様の検討をおこなった。得られた成果を以下に示す。 1.解析により空間高調波磁束の削減率を導き,提案構造の妥当性を確認した。また,作成の容易性やコストの面での都合などを考慮して4分割型が適当であることを示した。なお,磁石の分割による磁石量の減少は空隙磁束の低下につながるが,強力な希土類磁石を用いることでこれを補うことができることを指摘した。 2.磁石の分割に伴って生じたスペースに塊状導体を設けることで,乱調防止効果が向上することを解析と実験により確認した。また,磁石の分割が進むにつれ,より良好な乱調防止効果が得られるという結論を得た。 3.二次側導体単体による始動推力特性を解析によって求め,試作機を用いた実験により誘導始動の効果を確認した。また,磁石を塊状導体の中に埋め込むことによって導体中に空洞ができ,この部分において端効果が生じて推力の低下を招くが,誘導推力は導体の全体量に依存することを指摘した。 以上,本年度は研究期間を通じて予定通り研究を進めることができた。
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