送電系統の問題の1つである二次アークは未だ未解明な点が多い。本研究では小規模であるが種々のパラメータ(例えば、二次アーク電流の大きさ、位相差、二次アーク発生前の故障アーク電流の大きさ、位相差およびその持続時間等)を容易に変えることができる模擬アーク発生装置を開発した。また、送電線の相導体に多地点に同時に雷撃があり、多地点地絡故障が生じた場合の単相再閉路による送電線の両端が解放された時の多地点の二次アーク電流の大きさを求める理論式を導出した。 本研究では初年度の平成9年度において模擬アーク発生装置を製作した。また、送電線多地点地絡時の二次アーク電流評価の理論式を導出し、電源電圧および二次アーク電流の位相差の関係および二次アーク電流の大きさについて調べ、それらの関係を明らかにした。 本年度の平成10年度においては9年度に構築した模擬アーク発生装置、電圧、電流等のデータ解析システムを用いて、二次アーク発生前の故障アーク電流の大きさ、持続時間、二次アーク電流の大きさ、電源電圧との位相差等を変化させた場合の二次アーク消弧までのアーク放電路の時間的推移を測定し二次アークの長さとその持続時間の関係等を明らかにした。更に二次アーク電流-電圧特性の数式化について検討し、その特性が電流のピーク値で数式化でき得ることを示した。また、本研究で開発した模擬アーク発生装置は比較的安定にアークを発生でき、さらに種々のパラメータを容易に変えることができ、今後、この種の研究に極めて有用である。
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