研究概要 |
ファイバ集積型マイクロ光スイッチの高効率化のためには,IIIV族化合物半導体活性層からの発光を特定の方向にのみ導く構造の形成が重要である。これには3次元(3D)フォトニック結晶の応用が有用である。 我々は,rfバイアススパッタリング法にはある条件のもとでは基板上の凹凸パターンを複製する効果があることを発見し,これを自己クローニング(autocloning)と名付け,3Dフォトニック結晶の作製に利用している。本研究では,3D周期ナノ構造の作製メカニズムを解明し3Dフォトニック結晶中の光導波路を初めて実現した。以下,それについて述べる。 1. 3D周期ナノ構造の作製と形成メカニズム (a) 作製方法 電子ビームリソグラフィとドライエッチングにより,石英基板上に丸い孔を三角格子状に形成する。孔のピッチと直径は,典型的な例ではそれぞれ0.5μm,0.2μmである。この上に条件を整えたrfバイアススパッタリング法によりa-Si/SiO_2多層膜(各層の厚さ0.2μm)を積層する。以上の作製プロセスを確立した。 (b) 自己整形・自己クローニングのメカニズム 積層の形状は,バイアススパッタリングにおける物理現象を(1)中性粒子の拡散入射,(2)垂直入射イオンによるスパッタエッチング,(3)材料粒子の再付着の三つの数学モデルを使った堆積シミュレータによりほぼ正確に予測することができることが分った。 2. 導波路の作製と評価 フォトニック結晶の一部に線状に周期を乱したいわゆるdefect領域を設ければ,光導波路とすることができる。まず,面垂直導波路を作製した。これは,3Dフォトニック結晶中に最初に形成された光導波路としての最初の例である。透過特性はFDTD法による計算値とも合っている。
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