高電磁応力状態は、大口径ダブルパンケーキコイルに強磁場中で電流を通電する事によって実現できる。代表者の研究の狙いは、約300MPaに耐える補強法としてAgシースBi2212テープを反応後に高強度のCu-50Agテープまたはハステロイテープと共巻きすることで、大口径コイルを作製することである。強磁場マグネットの機械的特性を評価するために、歪ゲージによって測定して高電磁応力状態の解析を行った。銀シースBi2212テープと補強材CU-50Agテープまたはハステロイテープの共巻きでφ280mm直径、11ターンのR&Wダブルパンケーキコイルを2種類作製した。10Tの磁場下、4.2Kの液体ヘリウム中において、I_c=350Aを越えてI=500Aまで通電した。この時の歪はCu-50Agテープ補強ではI=350Aで0.25%ほどであったが、ハステロイテープ補強ではI=500Aで0.22%であった。I=500Aでのフープ力は262MPaに相当している。歪0.16%までは臨界電流の劣化がないことがわかった。この歪に相当する電磁応力に対してはハステロイテープで150MPaほどの電磁力を抑えることができる。
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