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本年度は光ファイバーのクラッド部を除去し、コア部に有機色素層を形成したファイバーセンサーを作製し、有機色素の可視吸収スペクトル変化を利用した、pHセンサー、タンパク誤差を利用したタンパクセンサーの基礎特性を検討した。有機色素層の形成は、展開分子としてアラキン酸、吸着分子としてテトラ・ブロモ・フェノールブルー(TBPB)用いた吸着LB法で行った。TBPBはpH指示薬として用いられており、pH3.0〜4.6の間で黄色から青色に変色することが知られている。吸着LB膜の累積層数は1層から5層まで変化させた。なお、吸着LB膜の累積時には1層累積するごとに吸収スペクトルを測定し、吸着LB膜の累積を確認している。センサーとしての評価は、塩酸を純水で薄めた溶液(pH2〜5)およびタンパク標準液を用いて濃度を50mg/dlに調整したタンパク溶液に、光ファイバー上に累積したアラキン酸/TBPB吸着LB膜を一定時間浸した後に可視吸収スペクトル変化を測定することによって行った。その結果、以下の知見を得た。
1)予備実験として、タンパク測定用の有機色素であるTBPBの溶液の吸収スペクトル変化を測定した。
pH変化によるスペクトル変化は安定して測定された。また、その変化は可逆的であった。また、タンパクの存在によりスペクトル変化がアルカリ側にシフトし、タンパク誤差が確認された。
2)光ファイバー上のアラキン酸/TBPB吸着LB膜の吸収スペクトルはpH変化による安定な変化を示した。溶液のpHの酸性側への変化により、630nmにピークを持つ吸収は顕著な減少を示し、450nmにピークを持つ吸収は増加した。また、LB膜の累積数が1層のものが5層のものより高感度であることが認められた。
3)アラキン酸/TBPB吸着LB膜の吸収スペクトルの、タンパク溶液による変化は1)の溶液の場合と同様な変化が認められた。また、その感度はpHの場合と同様に累積層数が少ないほうが高いことが分かった。
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