フェライトメッキにはFe^<2+>、Ni^<2+>、Zn^<2+>などの金属イオンを含む反応液とNaNO_2の水溶液である酸化液とを用いるが、これらを超純水製造装置により作製した超純水(電気抵抗:18.2 MΩcm)を用いて作るとともに、孔径1μmのメンブレン・フィルタを通して清浄化した。反応槽の材料として、メッキにより汚染されるのを極力抑制するために、PTFEを用いた。清浄化した水溶液をフェライトメッキの反応槽に導入し、マグネタイト(Fe_3O_4)膜、Ni-Znフェライト膜を作製した。 反応液に緩衝剤としてCH_3COONH_4を入れると、反応槽に導入される前に不純物が生成されること、フィルタの挿入により反応槽に入る前に止められていることがわかった。また、AFMによる膜表面の観察から、膜を構成する粒子寸法がわずかではあるが小さくなっていること、極端に大きな粒子の数が少ないことがわかった。さらに、メッキ液の濃度を低下させると、この傾向はより強くあらわれた。これは水溶液中で生成する不純物粒子の生成が抑制されたこと、その粒子の膜への取り込みが少なくなったことが原因であると考えられる。しかし、磁気特性、特に軟磁気特性の変化はほとんどなかった。また、水溶液濃度を低下させることによって堆積速度が低下することも課題の1つとなる。 以上の結果は、水溶液の清浄化だけでなく基板の清浄化処理も重要であることを示唆している。つまり、基板に付着した汚れや塵をメッキ液の導入前に十分取り除くことが可能な反応槽内での洗浄工程が必要である。
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