超清浄水溶液中でのフェライトメッキ薄膜の作製と磁気構造改善

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09650346
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 北本 仁孝 東京工業大学, 工学部, 助手 (10272676)
• 研究分担者: 阿部 正紀 東京工業大学, 工学部, 教授 (70016624)
• キーワード: フェライト薄膜 / マグネタイト / フェライトメッキ / 清浄化技術 / ポリマー微小球

研究概要

前年の研究成果より、pH緩衝剤として酸化液にいれているCH_3COONH_4が不純物粒子形成の原因になっていることをつきとめたが、今年度はこれを用いることなく、アルカリ水溶液を用いてpHを調整することによってフェライト膜作製することを中心に試みた。
めっき中に19.5kHz、600Wの強力超音波を水溶液に印加する超音波励起フェライトめっき装置により、直径4.5μmのポリアクリル微小球にマグネタイト膜を形成した。マグネタイト・コート微小球は酵素免疫試薬として用いられるものであり、比重が水に等しい1に近いことが要求される。ポリアクリル微小球の比重が1.05であるため、マグネタイト膜は数10nmと非常に薄くなければならない。しかしながら、従来法では結晶粒径が数10〜100nmと大きいため、その程度の膜厚では全面を均一にコートすることが困難であった。そこで、さきに述べた方法によりマグネタイトのめっきを行ったととろ、膜成長初期から10〜20nmの微細粒子が数多く形成されており、従来法で形成されていた不純物粒子などの肥大した粒子は観察されなかった。磁化特性、メスバウアー効果、X線回折の測定から形成された膜はマグネタイトであることがわかった。50nm堆積したマグネタイト・コート微小球は水中での分散安定性、集磁性(磁石による分離特性)ともに現行製品より優れたものであった。
以上のことより、不純物粒子の形成を抑制し、膜を構成する結晶粒を微細化することにより、極薄でも優れた磁気特性を有するフェライト膜を微小球に均一に形成することに成功した。

研究成果

• [文献書誌] Y.Nakayama, Y.Kitamoto, et.al.: "MR Effect of Magnetite Films Prepared by Ferrite Plating" J.Materials Research. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] F.Zhang, Y.Kitamoto, et.al.: "Magnetic Recording Characteristics of Co Ferrite Perpendicular Magnetic Recording Media Prepared by Slution Process" J.Materials Research. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] Y.Kitamoto, S.Takaya, et.al.: "Low Temperature Fabrication of Co Ferrite Thin Films with High Coercivity for Perpendicular Recording Disks by Wet Process" J.Magn.Magn.Mater.(印刷中). (1999)
• [文献書誌] Y.Kitamoto, S.Kantake, et.al.: "Co Ferrite Films with Excellent Perpendicular Magnetic Anisotropy and High Coercivity Deposited at Low Temperature" J.Appl.Phys.(印刷中). (1999)
• [文献書誌] S.Kantake, Y.Kitamoto, et.al.: "Intergranular Coupling and Interaction in Co Ferrite Thin Films for Magnetic Recording Media" J.Korean Ceramic Society. (印刷中). (1999)
• [文献書誌] Y.Nakayama, Y.Kitamoto, et.al.: "NiZn Ferrite Coating for Electrical Insulation of MnZn Ferrite Cores" J.Korean Ceramic Society. (印刷中). (1999)