研究概要 |
本研究では、Carbyneと呼ばれる新しい炭素形態の生成をホットフィラメント・アシスト・スパッタ法により作成し、その生成膜の電気的、結晶学的評価と電子デバイスへの応用に関してなされたものである。研究実施計画である(1)「高配向性カーボン薄膜の作成プロセスの確立と電氣的諸特性の測定」、(2)「高配向性カーボン薄膜の成長機構及び結晶構造の確定」、(3)「高配向性カーボン薄膜の特性評価」に対して得られた成果は以下の通りである。 研究成果: (a) 炭素薄膜の結晶化及びCarbyneの生成に有効な熱フィラメント温度の限界値、フィラメント放出源の形状を明らかにし、プロセスの確立をはかった。 (b) 炭素薄膜の形態については、得られたデータを「購入機器」(PC-V520C,日本電気)にて処理し、炭素の擬一次元形態を持っCarbyneで、そのポリタイプはChaoiteであることを確認した。「装置の改良」をはかることによりその生成を容易にした。 (c) Carbyne薄膜の電気的特性において、購入した「抵抗測定架台」(503RS,共和理研)で測定し、高導電性で且つポジティブな抵抗温度係数を持つことを見出した。 (d) 組織構造的には、超微粒子より成り立つことを見出した。 (e) コイル状タングステンフィラメントを使用した条件下では、従来には存在しない全く新しい形態の「ナノ・カーボン・ファイバを含む炭素薄膜」が生成されて居ることを見出した。 本研究で得られた結晶性炭素薄膜は、更なる研究開発とエレクトロニクス分野への応用が期待される。
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