カルコゲナイドガラスは 赤外や近赤外の光透過率が他のガラスに比べて大きいため、希土類元素の添加による発光を利用することにより、光ファイバ増幅器としての大きな潜在力をもつ。酸化物ガラスを母材料にするのと違い、希土類元素を直接励起しなくても光ファイバ領域の発光が観察されるのが特徴であるが、本研究の主題は1)カルコゲン母材からエネルギーがどのように伝達されるのか、2)非幅射エネルギーがどのようにかかわるか、以上2点を明らかにすることにあった。 本研究は非幅射エネルギーを"雑音"としてとらえようとする全く新しい試み(興味)から出発した。そのため、1)雑音(電気信号のノイズとしてとらえる)の測定システムを構築し、発光、非発光との関連をつかむことを一番の目標とした。次いで2)デバイスとしての将来を考えて薄膜化を試みた。 結果を以下に列記する。雑音の測定システムを構築し、標準カルコゲナイドガラス薄膜で測定を開始している。1)有名な1/f雑音を観測し、光照射のもとでのスペクトル変化と解析は現在進行中である。2)Pr(希土類)を添加したAs-Se薄膜をスパッタ法で作製した(知る限りまだこのような膜での発光の報告はない)。光ルミネッセンスの観察を試みているが、まだ発光は検知できていない。3)カルコゲナイドガラスは光照射によって準安定な構造変化(光膨張など)が生じ、本研究の主題と関わるので、基本的光物性の研究も同時に行い、速報を含む研究論文を出版した。
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