研究概要 |
強誘電体Pb(In_<1/2>Nb_<1/2>)O_3(PIN),Pb(Mg_<1/2>W_<1/2>)O_3(PMW),Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PMN),Pb(Zn_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PZN)及びそれらのPbTiO_3(PT),PbZrO_3(PZ)固溶体において単結晶をflux法により育成、セラミクスをfast firing法により作製した.それらの微細構造(組成調整、温度、圧力、電界等)変化に伴う誘電・圧電・焦電特性等の変化を本科学研究費補助金により購入したインピーダンスゲインフェーズアナライザを用いて明きらかにし、それらに伴う多様な機能の発現と高性能指数を有する強誘電体素材開発の観点(各種相構造の共存に依る傾斜機能性の発現、及びデバイスの性能指数を上げるための巨大自発分極Psの発生等が肝要)から強誘電体材料の設計指針を与えた.これらの特性を有する強誘電体材料として実用化を目指した系:PIN,PMW及びそれらのPT固溶体系を探索し、order性が制御された単結晶を育成した.PINでは静水圧力印加によりrelaxorから強・反強誘電相への相転移を観測し,disorderingに伴う余剰体積△Vが巨大Ps・誘電率εを発生させるのに重要な役割を果たすことを示した.PIN-PT系では極微細構造組成制御により、Ps=55μC/cm^2、ε=35000を出現させた。モルフォトロピック相境界付近では各種domainの共存状態を明かにし、巨大Ps,ε,電気機械結合k(kp=75%)と諸機能の発現機構に関する新知見を得た。現在、巨大Ps,kを有するPIN-PT,及びPMW-PT系の圧電振動子について、東芝の山下主任研究官、ペンシルベニア州立大学内野教授,新しい反強誘電性アクチュエータについてもリコー中央研究所の秋山氏との共同開発を,また疲労効果に関連して,リラクサ強誘電体の学術面でもラマン散乱研究で名古屋大学石橋研究室,X線散漫散乱の研究で関西学院大学寺内研究室と共同研究中で,分域に関する動・静的研究成果を発表して来ている。
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