研究概要 |
Bi系酸化物超伝寝体Bi_2Sr_2Ca_<n-1>Cu_nO_x(BSCCO)の応用として,超伝導アシテナや超伝導フィルタ,あるいは固着接合による発振器やインターフェースなどが考えられる。アンテナやフィルタでは超伝導体の高臨界電流密度化を図る必要があるのに対し,固有接合の場合には臨界電流密度の小さい材料が要求されるとともに,臨界電流密度の制御も必要となる。したがって,BSCCO薄膜の臨界電流密度を広い範囲で制御することが実用上不可欠である。本年度はBi系酸化物超伝導体薄膜の超伝導フィルタ,固有接合などへの応用を目指して,臨界電流密度と他の諸物性との関係などについて検討した。得られた知見を以下に述べる。 1. 臨界電流密度と他の物性との関係についての検討:ab軸方向の臨界電流密度と表面抵抗との関係について主に検討した。表面抵抗は,Y系超伝導体で報告されているような粒径と臨界電流密度の積に対する依存性は見られなかったが,臨界電流密度によって整理される可能性が示唆された。 2. 臨界電流密度制御法の応用可能性にについての検討:臨界電流密度制御法の応用として,2212相(n=2)を用いて固有接合を作製し,その特性を評価した。前年度の結果を基に,c軸方向の臨界電流密度を10^4〜10^1A/cm^2の範囲で変化させた。その結果,電流-電圧特性がブラックスフロー型のものから固有接合特有の電圧のとびとヒステリシスの見られるものまで得ることができた。また,電圧のとびとヒステリシスが現れるものは臨界電流密度が約10^3A/cm^2以下のものであることがわかった。
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