アモルファス物質の構造ゆらぎを高感度にて評価し得る偏光エレクトロアブソープション法(以降PEA法)において、エレクトロアブソープション(EA)シグナル中に含まれる熱変調成分は、純粋な構造ゆらぎを評価する上で障害となる。該熱変調成分は、PEA測定時に試料に印加する電圧及び試料を流れる電流によって発生するジュール熱が原因である。この熱成分を正確に見積もる方法を検討し、純粋な構造変化としてのPEA比を評価することで光誘起構造変化の直接的な評価である内部応力の変化及び密度の変化との関連性を明確にした。解析の結果PEA比に与える熱変調成分の影響は、EAスペクトルのピーク付近で20〜30%含まれていることがわかった。この値は、比較的大きな値ではあるものの、これまでに報告してきたAMI50mW/cm^2 照射下でのPEA比の変化の傾向、即ち光照射直後から急速な変化が起こり、約5分間程度で飽和すると云う結果に影響を与えるものではないことが判明した。また、光誘起構造変化を、より直接的に評価する方法として、浮遊法にてアモルファスシリコンの密度評価を行った。基板から剥離したアモルファスシリコンは光照射前は、結晶シリコンの約98.5%であり、また光照射後には光照射前に対して約1.5%の密度の減少が確認された。しかも該光照射条件下での密度の時間変化は内部応力の時間変化の傾向に良く対応しており、約5分間の光照射で飽和することが判明し、両者は、何れも非晶質シリコンの光誘起構造変化を観測しているものと考えられる。特に、PEA法による構造乱れの変化との対応関係よりAMI50mW/cm^2条件下での該構造変化は、構造の乱れと共に進行しているものであると結論づけられる。
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