研究課題/領域番号 |
09650363
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 寛 九州大学, 先端科学技術共同研究センター, 助教授 (70172301)
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研究分担者 |
古川 勝彦 九州大学, 先端科学技術共同研究センター, 助手 (40264121)
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キーワード | シリコン / 極薄絶縁膜 / ECRプラズマ / 低温薄膜形成 / 電気的機能性 / スパッタリング |
研究概要 |
シリコン半導体デバイスにおける絶縁膜として、熱酸化は極めて重要な役割を果たして来た。しかしながら、近年の半導体デバイスでは膜厚10nm以下の絶縁膜が必要となり、その結果として、熱酸化膜の特性改善に対する研究ばかりでなく、熱酸化膜以外の極薄絶縁膜に対する研究が強く求められている。本研究では、高活性なプラズマの生成が容易に実現できるECR(Electron Cyclotron Resonance)マイクロ波プラズマとSiターゲットからのスパッタリングを組み合わせたECRスパッタ法を用いて、Si系絶縁膜を低温で堆積するプロセス技術を確立し、堆積された膜の機能性を発現させることを目的としている。本年度得られた成果は、以下の通りである。 (1) 室温で堆積されたSiO_2及び堆積後450〜900℃でアニールした試料を赤外吸収法及びX線光電子分光法により調べた。堆積させただけの試料は近似的に化学両論比の組成比(SiO_2)を持つが、微量のSiO_xおよびAr原子を含む。Ar原子は450〜550℃の熱処理で拡散し消失し、SiO_xの組成は750〜950℃の熱処理でSiO_2とクラスター状のSiに分解することが分かった。 (2) SiO_2堆積時の酸素ガス流量変化に対する膜質変化を電気的測定およびエリプソメトリ、赤外分光、XPS、化学エッチング等の構造的測定より調べた。酸素ガス流量増加に伴い、電気的性質は向上する。これは、Si-O-Siボンド角の分布とSi-Oボンドの応力が低減したことによることを明らかにした。 (3) SiN堆積を窒素ガス流量を変化させて行い、最適条件を明らかにした。窒素ガス流量が低い場合、屈折率が大きく、Siリッチの膜となる。また、窒素ガスを過度に増加させると、窒素ガスが膜中に混在して欠陥密度が増大する。これに伴い、電気特性及び構造特性が劣化する。しかし、最適窒素ガス条件で成膜した窒化膜は、屈折率、赤外吸収、化学エッチングレイト等の特性は高温CVDで成漠したものと同等であることが明らかとなった。これにより、室温での高品質SiN堆積プロセスが確立した。
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