広範囲の電流密度(エネルギー傾斜)上の緩和に関する障壁エネルギーを得ることができれば、ピンポテンシャルの定量的な評価が可能となり数年に渡るクリープ特性の連続観察が必要となる。その解決法として高温励磁法を提案した。即ち、まず高温(T_o+ΔT)で超伝導体を励磁し、磁界を一定に保ったまま温度を下げ動作温度(T_o)にすれば、高温での低い電流密度に対応した、長時間経過後と同様の磁束分布を実現できる。即ち、長時間(数十日相当を既に実現)の磁束クリープ(オフセット)特性を得る。この実験的シミュレーションにより、従来は諦められていた数ヵ月以上の長期に渡る緩和特性を得ることができた。その結果、次の成果を得た。 ・ 高湿励磁法により酸化物超伝導体の大きな磁化緩和を対症療法的に抑制できる。 ・ 申請機器ローターセット(申請主要機器)で印加磁界に対して、細かに位置方向を設定し、磁束クリープ特性の温度、磁界依存性を測定した。同じく高温励磁後の磁束クリープ特性の温度スッテプ、温度、磁界依存性の測定、検討した。 ・ シミュレーション結果とのフィッティングによって得られたピンポテンシャルの大きさは温度低下に伴い、従来の異常な減少とは異なり、微増する結果を得た。 ・ オフセットクリープ特性に過渡状態があり、ノーマルクリープ特性に上部と下部から漸近する場合がある。これは反磁性による表面の磁界の飛びと結晶粒界による。
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