研究概要 |
昨年度に引き続き、地球環境計測用2.5THz帯準平面形ショットキ・ダイオード(QUIP-SBD)、及び4THz帯プラズマ計測用SBD検出器の開発を行い、以下の成果を得た。 (1) SBD微細加工プロセスを行う際、GaAs表面に欠陥を生じない条件で、かつ再現性の良いECRプラズマエッチングを行う必要がある。そのため、プラズマ電子温度、電子密度、基板ポテンシャル、基板温度のその場測定を行った。その結果、再現性の良いエッチングを行うためには、5時間のアルゴン/酸素プラズマによるクリーニングが必要であることを明らかにした。 (2) 前述の改良プロセスを用いて、2.5THz帯QUIP-SBDの開発を行った。英国ラザフォード研究所で開発された検出器/ミキサーブロックに本QUIP-SBDを組み込んで性能を測定し、24,000K(DSB)のミキサー雑音温度を得た。この時の局部発振電力は1mW以下で良く、この点においても非常に優れていることを明らかにした。このミキサーは、米国NASAに送られ、衛星搭載のための振動テスト等にもパスし、地球環境計測用衛星に組み込まれる予定である。 (3) 核融合科学研究所で開発が進められている4THz帯プラズマ計測用干渉計に用いるSBD検出器の開発を行った。4THz帯では、従来のコーナーキューブ形の場合、アンテナ素子の位置あわせが極めて難しい。そこで、放物面の焦点距離が任意に設定できることを利用して、コーナーレフレクターの代わりに採用した。この検出器の設計が終了し、現在製作を行っている。製作が完了次第、核融合科学研究所で実験を行う予定である。
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