研究概要 |
1.コレステリック・ネマティック混合系液晶に種々の蛍光性色素を溶解し,セルの厚みや蛍光性色素の濃度及び液晶の組成等を変化した液晶セルを作製した。また,液晶セルを構成する基板に対して,液晶分子が平行又は垂直に配向するような処理を行った場合の吸収・散乱特性及び発光特性を測定し,液晶セル単独での発光強度並びにシャッタとして用いた場合の透過特性における最適条件を見いだすことができた。 2.IIIV族窒化物系化合物半導体による青色系発光ダイオード(LED)及び紫外線の波長領域に発光を示す発光グダイオード(UVLED)を用いて,紫外線領域における発光スペクトル及び発光強度特性を測定し,液晶セルとの組合せについて考察を打った結果,青色系LEDにおいては大電流短パルス励起により,またUVLEDでは連続電流励起によりそれぞれ十分な紫外線強度が得られることがわかった。なお,青色系LEDを用いた場合には,可視光領域での短波長の発光が混入するため,色度座標上において発光の純度が低下することが認められたが,UVLEDを用いた場合には,より高純度の蛍光色彩が得られることがわかった。 3.蛍光性色素を添加した液晶セルにおいて,印加電圧に対する紫外線の波長領域におけるシャッタ効果及び蛍光強度変化を測定し,多色発光表示素子としての基礎的な特性について孝察を行った. 4.青色系LEDまたはUVLEDと蛍光性色素を添加した液晶セルを複合化し,液晶セルに対ずる印加電圧と各々の発光強度及び発光スペクトルの関係を詳細に測定し,色彩変化が可能な発光素子として考察を行った結果,青色系の蛍光性色素を添加した液晶セルと赤色または緑色の蛍光を発する外部蛍光板との組合せにより,青-赤,青-緑の切り替えが可能なLED励起の発光素子を構成することができた.さらに,異なる発光帯を有する蛍光性色素を添加した液晶セルと外部蛍光板を組合せた多層構造とすることにより,多彩な色相の発光を呈する発光素子を構成するための基礎的な特性を把握することができた。
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