研究概要 |
「ファブリ・ペロー干渉計を用いたディスプレイ(光干渉型)」と「機械式光シャッタ型ディスプレイ」について比較検討を行い、「光干渉型」の試作を決定した。素子は複数の縦電極と複数の横電極の各交差部を画素とする単純マトリックス構造とし、干渉計を構成する2つのミラー(可動ミラーと固定ミラー)間の空隙幅を精度良く形成するため表面マイクロマシニング技術により作製することにした。また、フルカラー表示が可能な、ファブリ・ペロー干渉計と赤,緑,青のカラーフィルタとの組み合わせ型とした。素子構造の最適設計を行うにあたり、干渉計の電気機械的特性、及びカラー表示特性と素子パラメータとの関係を明らかにするための理論解析を行った。干渉計を構成するミラー材料としてニッケル、犠牲層材料としてミラー部への化学的影響が少ないエッチング液で除去可能な犠牲層材料として、超LSI用高耐熱ポリイミドを用いた。基板上に所定パターンのポリイミド犠牲層を形成する技術、その上に窒化シリコン膜の可動ミラーパターンを形成する技術、及び同パターンとニッケル固定ミラー間の犠牲層をエッチング除去して微小な空隙を形成する技術、を確立した。可動ミラー部を半透明ミラーとするため、これを窒化シリコンと極薄ニッケル層の積層膜で構成し、エッチングにより可動ミラーのパターン形成を試みた。しかし、パターン損傷や段差部での配線の段切れ発生などにより良好な可動ミラー兼可動電極(マイクロアクチュエータの可動電極としての機能を有する)が形成できず、今回ディスプレイの完成には至らなかった。本研究補助金の支給は今年度で終了するが、引き続き可動ミラー部の材料、膜厚、成膜方法などを見直し、早期にディスプレイを完成させたい。
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