FeCo/Cu/FeCoサンドイッチ構造膜を磁気抵抗層に用いて、基板上に下部Cu電極線、SiO絶縁層、磁気抵抗層、SiO2絶縁層、上部Cu車極線の順に堆積、微細加工し1ビットメモリ素子の試作を行った。上下の電極線と磁気抵抗層の間の絶縁層は、配置の上下関係が非対称になるようにし、上下の電極が部分的に磁気抵抗層と重なるように加工した。これにより、上部電極から下部電極へと電流を流したとき、磁気抵抗層を流れる電流は膜面と平行になり、磁気抵抗層の磁化状態の変化による抵抗変化を検出することが可能となる。 実際の記録・消去実験については、記録は電磁石による外部磁場で行い、ソフトなFeCo層の磁化のみを反転させるような磁場の範囲で繰り返し磁場の増加・減少を繰り返すことにより記録消去が行えることを確認した。読み出しは、上部の電極から下部の電極へと電流を流し磁気抵抗層の抵抗変化から確認した。 このような磁気ランダムアクセスメモリの作製には磁性金属材料の微細加工方法の改善が非常に重要な役割を占めており、研究の一環として基盤微動真空蒸着法を発明し、装置の開発に関しても試作品段階まで進めた。
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