本研究では、光磁気ディスクを高密度科するため、光磁気ディスクの記録膜を多層化して3次元的に記録する手法を用い、高信号対雑音比(SNR)を実現する波長多重再生の検証と実現を目的としている。具体的には、多層構成の最適化手法を確立し、波長多重再生光学系を作製し、実験的検証と問題抽出から、波長多重再生実現を目指す。 本年度は、3次元多層光磁気ディスクの設計・作製および波長多重光学系の設計・作製を行った。 ディスクの設計・作製では、光磁気記録材料としてアモルファス磁性金属系材料を用い、波長多重再生に適した層構成の媒体を、既知の光学パラメータを用いて、光干渉シミュレーションにより設計・作製した。作製したディスクの磁気特性、光学特性を実測し、おおむね設計通りのディスクを得ることができた。しかしながら、磁性膜の膜厚が8nm程度と従来に比べて薄い場合は、既知の光学パラメータとのずれが大きいことがわかった。この膜厚の磁性膜は、多層記録に必須であり、この光学パラメータのずれの原因の解明を今後行うと共に、媒体設計へのフィードバックを行っていく。 また、本年度は、上記の作製したディスクを、波長680nmと780nmのレーザ光で再生実験を行い、波長多重再生方式の検証を行った。これにより多層記録層を同時に再生できること検証でき、この結果は、平成9年10月に山形で開催された光磁気記録国際会議でも発表した。今後、更に微少ビットでの波長多重再生実験を行い、現行光磁気ディスクの記録密度を大幅に向上する記録再生実現を目指す。
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