1. ノーマリブラックモードの位相差板補償・偏光板1枚式反射形TNLCDの無彩色表示特性と0°〜90°までの液晶ねじれ角の関係を数値解析法で詳細に調べ、ねじれを小さくするとコントラスト比は高くなるが、液晶層厚が小さくなり製造が困難になることから、先に提案した60°程度が最適であることを明らかにした。 2. 本研究中に考案したノーマリホワイトモードのねじれ配向液晶高分子フイルム(TNフイルム)補償・偏光板1枚式反射形TNLCDの無彩色表示特性とねじれ角および液晶(TNフイルム)と位相差板の複屈折率Δnの波長分散の関係を数値解析法で詳細に調べた。その結果、この方式のねじれ角については、コントラスト比が約25°で最大になることを除き、ほぼ上記1.と同じ結論となった。一方、後者については、△nの波長分散の小さい液晶と△nの波長分散の大きい位相差板を紹み合わせるとコントラスト比が高くなること、明状態の反射率49%、コントラスト比50:1程度のカラーフイルタ方式によるカラー表示に十分実用できる無彩色表示が得られることなどを明らかにした。 3. 特に、赤色の色純度と赤色を表示する電圧幅の改善を目的として、複屈折色を用いる偏光板1枚式反射形STNLCDの表示特性と位相差板の枚数および液晶と位相差板の複屈折率Δnの波長分散の関係を数値解析法で詳細に調べた。その結果、位相差板を2枚に増やしても特性は改善されないこと、電圧を変化して、無彩色とR-G-Bの3原色を表示するにはΔnの波長分散の小さい液晶を用いる必要があるが、液晶と位相差板のΔnの波長分散の組み合わせは特性改善にほとんど寄与しないとの結論に達した。
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