研究概要 |
本研究では,超高精細画像を対象とした可逆的高圧縮符号化方式の開発に関する研究を行った.本研究においては,まず,超高精細画像を主体としたアプリケーションシステムに要求される機能を明らかにし,それら要求条件を満足する超高品質画像情報の符号化法について検討を行った.すなわち,超高精細画像符号化システムに要求される機能として,(1)可逆性,(2)階層性,(3)部分復号可能性を挙げ,符号化,伝送,表示等を含めたトータルの面から,この3機能を満たす超高精細画像の符号化伝送システムを構築した. まず,(1)の可逆性を満足する符号化モデルとしては予測符号化法,マルコフモデル符号化法,可逆変換符号化法等が考えられるが,本研究では,超高精細画像の可逆符号化モデルとしてこれらを用いる場合について比較検討を行い,圧縮効率のみではなく,(2)の階層性および(3)の部分復号可能性との親和性も考慮に入れ,超高精細画像の符号化モデルとして可逆ウェーブレット変換を採用することが妥当であると結論づけている.次に,超高精細画像信号は,従来の自然画像に比し,きわめて低いエントロピーを持っていることに注目し,このような情報源に対するコンパクト符号はハフマンのアルゴリズムによらずに簡単な手法で組織的に構成できることを明らかにした.さらに,(3)の部分復号可能性を実現するために,部分復号可能な新たな可変長符号を開発した.本方式の有効性を検討するために,提案する画像符号化および復号のシミュレーションシステムをワークステーションおよびパーソナルコンピュータ上に構築し,実際の超高精細画像を用いて,符号化効率,部分復号の妥当性,段階的表示性などの性能を検証し,考察を加えている.以上の検討結果から,本研究により開発した提案方式は,超高精細画像の符号化システムとして有効であると結論づけている.
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