高速FH-SS/Differential Detectionを我々の研究室で考案したディジタル変調方式QTM(Quaternary-phase Transition Modulation)を用いて実現し、これをITS(Intelligent Transpotation System)の物理層として適用出来るように改良・修正することが本研究補助金で目的とすることである。このための、本年度開発テーマは以下の3点である。 (1)高速移動体におけるチャネル推定の特性改善(2)複数ユーザー同時利用時の干渉特性の解明と改善 (3)周波数ホッピング時のシンセサイザーの位相連続性保持能力の程度と受信特性の関連の解明 以下ではこれらの事項に付き成果の説明を行う。これまで歩行者をデータ通信の対象として開発を行ってきたため、本研究の申請時点では、高速移動体に対する伝送路推定の追従性に問題があった。このため、DFEの使用をも考慮の対象としていた。しかし、補助金交付後のシミュレータの購入により複雑であるが高機能な信号処理を組み込むことに成功し、2GHz帯で200Km/hまでの補償可能な伝送路推定方式を開発できた。これは新開発のメトリック合成形ダイバーシチRLSアルゴリズムの実現により効率的な演算が可能となったためである。一方、複数ユーザー通信時の同一周波数の衝突の回避は高速FHにおける最大の関心事項である。OCCコードを用いたマルチユーザ同期/非同期複合システムのうち、非同期システムとして符号長4、16、52につき最大30ユーザー同時利用環境のシミュレーションを行った。符号長52を用いた場合、平均CIR=5dB、平均誤り率=10^<-2>を達成できる同時利用者数として23ユーザーを得た。本研究結果は補助金で購入したSUN Ultra SPARCの高速演算性能によっている。
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