研究概要 |
自律ロボットが実環境中で適切に行動するには,高等生物と同様に多様な多禄なシーンを安定に認識できるコンピュータビジョンの開発が不可欠である. このため,本研究では視覚系の最も基本的な機能やある物体追従の問題に注目する.物体追従の問題は,物体の存在の検出,位置の推定,大きさの推定というように,それ自体進化の階層性を内包している.より具体的にはカエル等の無尾両生類の捕食行動にともなう,移動物体の検出,追跡,3次元位置推定の階層的な計算論的数理モデルを構築し,実時間で動作するアクティブビジョンシステムを構成することを目的としている. 前年度はアクティブビジョンモデルの基本的な構成を検討した.カエル等の無尾両生類の捕食行動とそれに伴う視覚系の機能のモデル化を行った.カエル等の捕食行動はいくつかの部分行動の連鎖であることが知られている.構築されたモデルは,視覚系を計算論的タスクを実行する階層的システムとして記述し,各階層と捕食行動における部分行動との関係を,各階層で得られる情報が階層閾でどのように流れるかを中心に整理を行なった.今年度は前年度に構築されたモデルの妥当性を検証するために,実環境下での物体追跡とヒューマンインタフェースへの応用を検討し,具体的なシステム開発を行った.ヒューマンインタフェースの応用としては人間の頭部姿勢情報の測定とそれに基づく大型スクリーン上のポインティングデバイス,手指形状の滅列によるノンバーバルな情報入力システムなどを検討し,具体的システムの実現を行なった.
|