| 研究概要 |
(i) ATMネットワークにおけるセル廃棄率および遅延特性のシミュレーションによる評価
バックプレシャ機能を持つATM交換機の入力バッファにおけるセル廃棄率をインポータンスサンプリング(IS)シミュレーション法によって推定した.最適なシミュレーション分布を大偏差理論を用いて決定し,シミュレーションを行った.その結果,従来のモンテカルロ(MC)法では得られない非常に低いセル廃棄率を高速に求めることができた.
(ii) ATMネットワークにおけるセル廃棄率および遅延特性の解析による評価
優先制御機能を持つATM交換機の低優先バッファのセル廃棄率に対する近似値を大偏差理論を用いて導出した.その近似値を計算するための計算量は非常に少ない.また,MC法による推定値と比較して十分精度の良い近似値であることを確認した.
(iii) 大偏差理論の研究
M/D/1待ち行列のキュー長をMarkov連鎖で表現し,そのMarkov連鎖のサンプルパスの確率分布が指数分布族をなすことを示した.それに基づいて,M/D/1待ち行列全体の集合にRiemann計量,α-接続を定義し,+1座標系θと-1座標系η,およびdivergenceを定義した.そして,これらの幾何学的な量によってM/D/1待ち行列のキュー長のlarge deviationにおけるレート関数やtwisted分布,また,ISシミュレーションにおける元の分布とシミュレーション分布等の関係やIS推定値の分散の評価が与えられることを示した.
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