LANをATMネットワークで実現する方法の一つがLANエミュレーションATMネットワーク(LANE ATM)であるあLANE はATMスイッチと端末の間にLANスイッチを介し、LANスイッチとルータによって、LES/BUSによるEther/ATMのアドレス解決を行う方式で、キャンパスネットワークなどに普及しつつある。しかしながら、ATMネットワークはもともと電話回線をべースにした仕様であるため、Ethernetを中心に普及しているLANのネットワークとは異質なコンセプトをもつ。それを吸収する処理のため、ATMの高速性を十分生かせるかどうかという懸念がある。また、QoSはLANEではまだ実現されていない。そのため、現在、普及しているIPプロトコルだけを上位とする方式となるか、WANのATMに対し、比較的廉価であるギガビットネットワークがLANの基盤として棲みわけるのではないかという見方も強まっている。しかしながら、実際のネントワークでLANEの性能を明らかにした例はほとんどない。 そこで、本研究では、ATMスイッチ25個、LANスイッチ60余個をLANEで構築した、岐阜大学ATMネットワークにおいて、端末間での通信性能を測定し、評価した。IPの通信を主体とし、端末の種類、ホップ数などの影響を調べた。測定結果より、イーサネット通信はLANスイッチ配下にローカルに押えられるため、全体のトラフィック輻輳の影響が押えられることにより、通信の効率化が実現している。また、VLANの効果は大きく、ATMスイッチ経由による通信性能低下がほとんどない。一方、ホップによる効率低下が大きく、ルータの負荷が大きくなりやすい。BUSによるVCCボトルネックが発生していることが明らかとなった。そこで、VCCボトルネックを回避するため、LES/BUSをLANスイッチにおくことにより、ルータのVCC負荷分散を行うことが有効である。また、キャンパス内のアプリケーションサーバ(全学wwwサーバ、メールサーバなど)へのホップ数を減らすことにより、ユーザからのアクセスを効率化できることがわかった。
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