研究概要 |
本研究では、トランスポート層の隣接上位層としてメディア同期層を定義する.トランスポート層が提供する多様なQOSを考慮し,筆者は,メディアの多重化方式(単一ストリーム方式マルチストリーム方式)と受信側におけるメディア同期制御機能の有無との組み合せによる4タイプからなるメディア同期プロトコルセットの概念を提案した.プロトコルには,筆者等が提案したメディア同期アルゴリズムを用いた. 平成9年度は,まず,メディアサーバー内に蓄積されたMPEGビデオと音声をALTAIR無線LAN経由でアクセスする場合の実験を行った.各プロトコルタイプの基本性能を測定するとともに,それぞれの有効適用領域を明確にした.更に,MPEGビデオの時間的解像度制御方式を新たに提案し,この方式は高負荷時のメディア同期品質を大幅に改善することを示した.この成果は,IEEE GLOBECOM'97で発表された. 次に,蓄積されたH.263ビデオと音声に対して,PHSを用いた同様の実験を行った.実験では,ビデオと音声とに各々PHS1チャンネルを使用した.この成果は,電子情報通信学会情報ネットワーク研究会と1998年総合大会で発表された.更に,PHS1チャンネルにおいてH.223 Annex A 多重化プロトコルを用いて,H.263ビデオとG.723.1音声をインターリーブ多重化してライブ伝送する場合のメディア同期性能をシミュレーションによって評価した(電子情報通信学会コミュニケーションクオリティ研究会とTJCOM98で発表). また,ALTAIR無線LANにおけるライブMPEGビデオと音声のメディア同期実験も実施した.マルチストリーム方式を取り扱い,メディア同期制御の有効性を示した.この成果は,電子情報通信学会1998年総合大会で発表された.
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