研究概要 |
本研究の目的は,地球周回衛星のみならず惑星探査に向けて、観測データを効率よく地上に伝送する,高いインテリジェント機能を持つ波動受信機(インテリジェント受信機)を開発することにある。データ圧縮や信号識別,自律制御等の処理を行って,与えられたテレメータ帯域を最大限に生かせるシステムを開発する。 データ圧縮法の開発と評価をインテリジェント波動受信機(昨年度試作機:A/D変換,メモリ,CPU,DSP(Digital Signal Processor),フロッピ-ディスク装置などからなるIBM/PC互換のボードコンピュータ)を用いて行った。まず,波動観測データにふさわしい圧縮法として,ブロック長固定のサブバンド圧縮法をシミュレーションの後,本試作機にて動作させ,CPUとDSPによる場合のコードの最適化や速度比較を,GEOTAIL衛星で観測された様々な波形データを用いて行い,評価した。さらにブロック長可変のサブバンド圧縮法を開発し,より圧縮率が改善されることを確認した。 最近,Digital Down ConverterなるICが開発された。これはA/D変換されたデータをディジタル処理により低い周波数の信号に変換するものである。このICを用いると,A/D変換ができても周波数が高すぎて計算機処理できなかった周波数の信号が,限られた帯域幅ではあるが,低い周波数に変換されるのでディジタル信号処理が可能となる。注目する周波数はソフトウエアで指定可能である。このような機能を持つIBM/PC互換評価ボードが開発されたので,これを用いてパーソナルコンピュータでシミュレーション動作をさせたり,高速A/D変換を追加して試作機に入れて評価を行った。現在のところ,うまく周波数変換が行われ,試作機にデータを取り込むことに成功しており,様々な処理が可能となっている。
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