研究概要 |
リアルタイム分散協調システムやネットワーク管理プログラムなどを簡潔に記述するには,プロセス間でのデータ受け渡しのみならず,指定された時刻に与えられた同期条件が成立するときのみ同期を行う機構(実時間マルチランデブ)を実現し,プロセス間の通信に関する記述を簡略化できることが望ましい.時間制約付きLOTOS(E-LOTOS)は並行,選択,割込などの構文と実時間マルチランデブ機構を持つ分散システム用の仕様形式言語である.本研究は,複数計算機間の実時間マルチランデブをサポートするE-LOTOSコンパイラを作成することを目的とする.E-LOTOSコンパイラ作成のためには,複数スレッド間でのCPU時間割り当てや時間割り込みを行うためのスケジューラ機能を持つ実時間マルチスレッド機構の構築と複数計算期間での効率の良い実時間マルチランデブ機構が必要である.本研究では,前者の目的のため,申請者らが構築したUNIX計算機上でのマルチスレッド機構PTLを実時間制約を取り扱えるよう機能拡張した.また,後者の目的のため,各計算機でのイベントの実行時刻の放送による同報通知などを用いて指定された時間内に同期条件を満足するプロセス群を効率よく決定する実時間マルチランデブ機構を考案した.さらに,それらに基づいた時間制約付きLOTOS(E-LOTOS)コンパイラを作成するための準備として,複数計算期間のマルチランデブをサポートするLOTOSコンパイラを作成した.
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