研究概要 |
平成9年度は回路網の接続状況や解析手順を効率よく記述する手法について検討を加え,これらを汎用の手続き型言語のように記述する手法を提案した.また,提案する記述法に基づく回路網の記号解析システムを構築した.構築した回路解析システムは,最近開発が相次ぐ数式処理言語を積極的に利用して回路網を効率よく記号解析を行おうとするものである.回路網を記号解析することにより素子感度や雑音特性に代表される各種の性質を,繰り返し演算によらず求めることができる.このような記号解析手法については,これまでにいくつか提案されているが,これらがすべて数値処理言語によるパラメータ抽出などの手法を用いているため,記号として取り扱うことのできる素子の数に限りがあった.さらに解析処理を行う上で多くの繰り返し演算が必要であり,そのための計算時間や演算誤差が問題になっていた.提案した手法では,例えば回路網内,任意の素子値の組み合わせを記号としてあるいは数値として取り扱いながら各種の解析ができるなど,従来の手法に比べ柔軟性に富んだ回路解析が可能となった.また解析手順についても新しい型の変数を導入することにより,より柔軟な解析手順の記述ができるようになった. また,提案システムの利用法について検討した結果,利用者がインターネットのブラウザを経由して回路網や解析手順の入力が行え,また同じブラウザ上で式あるいは図形の形で解析結果を得ることができるように,システムをインターネット対応とするよう検討を始めた.これまでの研究により基本的なプログラムの開発が完了しており,今後はその動作確認ならびにシステムとしての完成度を高めるための改良を加えて行く必要がある。
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