ブレインウェア(脳機能情報処理)のためのモデルとして、まず、新しい階層構造を提案した。すなわち、入力パターン原像をレベル1、メタ記号と称する縮約した情報および付加情報をレベル2とする2階層からなるモデルを提案した。集積回路技術の進歩を考慮して、従来の記号処理をよりパターンに近づけたメタ記号の処理が集積回路処理の展望に入ってきたためである。この結果、時間系列の入力パターン列に対しては、ニューラルネット学習のほかオートマトン学習のような学習法も有効となり、両者を融合した新しい学習法をAST(Abstract State Transition)学習法として提案した。AS(Abstract State)、すなわち、抽象状態とは、入力原像の縮約情報および内部変数からなる状態に(状態遷移を誘発する)事象を加えたものである。抽象状態の集合が記憶の長期記憶(LTM)に格納される。抽象状態の系列が記憶の連想系列を生み出すが、この振舞いは短期記憶(STM)の作用により再現される。このような脳機能情報処理モデルは、AST学習により実現出来、AST学習の結果、時間系列の連想が再現される。このAST学習法の有効性はシミュレーションにより確認できた。 AST学習およびその再現のための処理は、連想処理をベースにしており、その実現には多くの(類似の険素を含む)照合操作を必要とする。ソフトウェアによるシミュレーションは、実時間とはかけ離れたものとなる。照合操作のうち、多くの対象へのブロードキャスティングに対しては光バスが有効である。光インターコネクションの中でも、多くの対象への照合操作は光バスの特徴を有効に導入することが可能な応用分野である。このような光インターコネクションの基礎のうち、回路設計およびその動作シミュレーションを行った。光バスにつながる処理ユニットはその内部で並列処理を行う。処理ユニットはVLIW(Very Long Instruction Word)タイプのプロセッサで照合操作を主に行う。さらに、有機的な照合(位置ずれを合わせるなど)については補助ユニットの導入が必要であり、いずれもシミュレーションにより、基礎資料を得た。 初年度は主に設計を行い、次年度では主にその評価およびシミュレーションを行った。
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