9.1. 2つのスピードアップファクタを用いた入出力バッファ型ATM交換機に関する研究 本研究では、QLモードを適用した入出力バッファ型ノンブロッキングATM交換機において、出力待ち行列長に閾値を設け、出力待ち行列長が閾値を越えていないときに大きなSpeedup Factorを用いることで出力ポートに多くのセルを転送し、越えているときには小さなSpeedup Factorを用い、入力側でセルを待機させ、出力バッファにおけるオーバーフローを低減させる交換方式を提案した。そして、理論解析と計算機シミュレーションにより大小2つのSpeedup Factorを用いることで平均系内時間を劣化させることなくセル棄却率特性を改善できることを示した。 9.2. 同報セル/非同報セル分離入力型のマルチキャストATM交換機に関する研究 本研究では、非同報セルによるコピーネットワークの負荷の軽減、およびコピーされた同報セルによる交換機の負荷の軽減を図るために、到着してきた同報セルはコピーネットワークの入力バッファに、そして非同報セルは交換機の入力バッファに、それぞれ分離して入力するモデルを提案した。そして、提案モデルについて理論解析および計算機シミュレーションを行ない、コピーネットワークと交換機の負荷を軽減することによって平均系内時間及びセル棄却率特性が改善されることを示した。 9.3. 時間変動する不均一トラヒックを考慮した入出力バッファ型ATM交換機に関する研究 本研究では時間的に変動するホットスポットを有する不均一トラヒックについて考え、平均待ち時間遅延、最大スループットおよびセル棄却率について理論解析及び計算機シミュレーションを行ない、時間変動する不均一トラヒックが交換機特性に与える影響や出力側セル競合時の処理方法及び最適なバッファ配置について考察した。さらにホットスポット専用ルートを設け、出力側競合に敗れたセルが入力側で待たされる時間の大きさよりホットスポットの存在を判断し、ホットスポットを目指すセルを専用ルートへ振り分けることによって、時間変動する不均一トラヒックによる特性の劣化を防ぐことができた。
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