研究課題/領域番号 |
09650426
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
荒川 薫 明治大学, 理工学部, 教授 (30183734)
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研究分担者 |
原島 博 東京大学, 工学部, 教授 (60011201)
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キーワード | ディジタル信号処理 / 生体信号処理 / 非線形信号処理 / ソフトコンピューティング / ファジイ論理 / 呼吸音 / 生体情報処理 |
研究概要 |
肺繊維症患者の呼吸音に含まれる異常音であるcrackleを自動的に分離抽出するシステムの開発を行なった。昨年度、開発したcrackle抽出アルゴリズムを実際の呼吸音に適用しその有効性を示すと共に、このアルゴリズムをDSP(digital signal processor)で実装するために処理手法を見直し、また、このアルゴリズムに適したDSPの構成を提案した。 まず、実際に得られた呼吸音データ10件程に対して、本提案手法を適用し、波形の上で十分高い精度でにcrackleを分離抽出できることを確認し、また、音としても効果的に分離できることを聴覚において確認した。本手法のファジィルール部におけるパラメータは、入力信号の振幅に依存するので、それを入力信号振幅の標準偏差に応じて適応的に設定できるよう改良を行なった。 次に、このcrackle分離抽出システムを実装するための新しいDSP形態を提案した。本研究で得られた、crackle分離抽出手法は信号の予測誤差の大小に対するファジィルールに基づき非定常成分を分離するST-NSTフィルタとその後処理の条件付き平滑フィルタからなるが、ファジィルールの部分は非線形関数で表されるので、ST-NSTフィルタと条件付き平滑フィルタを統合すると線形荷重和処理と簡単な非線形関数の組み合わせによる構成が得られることを明らかにした。従来のDSPは線形荷重和処理のみを行なう構造になっているので、本システムには適さない。そこで、crackle分離抽出システムを実現するDSPとして、従来のDSPに簡単な非線形関数を組み込む構造を有する非線形DSPの提案を行ない、それにより本システムが効果的に実現できることを明らかにした。
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