研究概要 |
本研究に関しては、ほぼ予定通り進行したが、題目の通り基礎研究で終わった部分もある。具体的成果を列挙すると、 1.題目のマイクロ波ストリップ線受動回路に関する基礎研究ということで、導波路に関しては、ストリップ線導波路,NRD導波路,グルーブ導波路およびマイクロストリップ線導波路に関するスラブモード展開に基づく合理的等価回路を導出し、これに基づいて導波路の特性(伝搬定数,電磁界分布)が計算できることを示し、研究発表を行った。マイクロストリップ線回路に関しては、発表する時間はなかったが、既に本研究室田部井康君の修士論文にその成果が記載されている。 2.マイクロストリップ線不連続問題の3次元解析に関しては、当初の目的を果たすべく、ストリップ線導波路・方形導波管の各種2次元不連続問題の基本的な研究を継続して行うことができた。その成果は2次元不連続問題のみでなく、発展としての3次元問題に展開できる見通しを得た。これに関する具体的な成果は、 (1)ストリップ線角正方形切断直角曲がりの最適カットの決定 (2)ストリップ線角斜め切断直角曲がりの最適カットの決定 (3)ストリップ線ステップ型不連続問題の等価回路の導出とその適用 (4)方形導波管H面ステップ型不連続部の等価回路の導出とその適用および各種回路への展開 3.フォスタ型等価回路に基づくフィルタ回路の合成に関しては、最終的な目的まで至らなかったが、着実にこの目的を果たすべく研究を行うことができた。例えば、 (1)各種不連続問題でのフォスタ型等価回路に基づく解析の妥当性が検証されたこと (2)平行結合線路に関する固有モードを導出し、これに基づいてフォスタ型等価回路を導出し、さらにこの等価回路に基づいて入出力特性を計算し、この入出力特性の妥当性を確認したこと 4.マイクロ波デジタル受動回路の合理的な解析に関しては、手をつけることができなかったが、各種等価回路を導出し、その妥当性を確認したので、今後の合理的な解析の基礎ができたと考えている。
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