研究概要 |
平成12年度中に得た結果のうちで特に重要,かつ有意義なものは以下の2つに大別される.これらは本研究が目指してきたマルチメディア対応超広帯域平面回路、線路のミリ波帯での動作特性に強く影響を与えるものである. 1.漏洩現象が存在する平面線路の固有モード特性解析 開放型平面回路線路の解析は一般には面倒であるので,しばしば金属導体からなる遮蔽体,例えば完全な金属ボックス(いわゆる導体パッケージング)や一部開放型(いわゆる側壁遮蔽)による構造に置き換えて計算が行なわれている.しかるに漏洩モード等の複素波が存在する線路では,このような置き換え計算は問題の本質を大きく見誤らせる結果になることを指摘し,種々の実例をもってこれを指摘し,遮蔽構造による近似はごく一部分の計算を除いて全く使用に耐えないものであることを明らかにした.これらの成果は2001年IEEE/MTT-S国際マイクロ波シンポジュウムで公表(決定)予定である. 2.マルチメディア対応平面回路線路が呈する狭帯域化現象と線路の新設計法の開発 これまでの研究によって,平面回路線路にはスペクトルギャップや多モード同時伝搬現象が存在することは不動の事実となってきた.然るに,これらが広帯域性利用を目指して開発されつつあるミリ波帯回路の特性を狭帯域化することを指摘し、その過程を詳細に述べてきた.そして平面回路線路設計に対する新しい方法を開発してきた.これに関する成果は2000年度の国際ミリ波シンポジュウムにて公表済み、またURSI-B国際電磁界理論シンポジュウムおよび2001年IEEE/MTT-S国際マイクロ波シンポジュウムにて公表(いずれも決定)予定である.
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