本研究では、エネルギー・環境問題において需要抑制が最も困難とされる交通問題において、技術戦略や公共投資がどのようにこの問題に寄与するかをモデル化して評価するものである。本年度は、千葉県房総半島を中とした南関東エリアを例に取り、交通ネットワークフローをモデル化し、炭素税や代替エネルギー自動車がどのように寄与するかを評価した。 交通ネットワーク問題では、単に全体的な運用の効率化(システム最適性)を評価するだけでは不十分であり、個別の利用者が自ら所要時間最短経路を選ぶという、利用者最適性の概念を考慮せねばならない。そこで、本研究では、この利用者最適性を上位システム最適化問題の制約式として内包するという、2段階最適化問題と定式化した。シミュレーションでは、まず、本方法による交通フローモデルの現状設備に対する解が、現状の断面交通量調査結果を極めて高い精度で再現していることを示した。続いて、道路拡幅の設備投資金額を10億から50億まで拡大するとき、ネットワーク上のどのリンクが拡大対象となり、またネットワーク上の交通フローがどのように変化するかを示すことができた。さらに、電気自動車やハイブリッド自動車の寄与も対象に含めた。 なお、本研究の一部は第14回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス、平成9年度電気学会全国大会で報告されている。
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