前年度の検討結果を踏まえ、路面に埋め込み可能な送電用トランスの構造並びに配置間隔について検討を行った。また、平面状送電トランス及び歩行補助用搬送車のモデルを用いて、走行中における給電システムの動作について実験的に検討を加えた。 移動体車輌には、電力受電用スパイラルコイルを取り付け、床面には多数の同形状の電力伝送用スパイラルコイルを配置した構成において、車輌が位置した直下の送電コイルのみを励磁するシステムをまず考案することによって、システム全体の効率改善を図り、同時に周囲の磁界環境に対する配慮も行うことができた。電力伝送効率は試作装置ながら80%に達しており、コイルサイズ、システムの最適設計などを行えば、さらに効率を改善させることは可能であると考えられる。 さらに、比較的軽負荷で高速移動を伴う移動体の場合には、上記スパイラルコイル構造よりもミアンダ型コイルが適することを示し、ミアンダコイルの設計を行う場合、最適なピッチ間隔が存在し、コイル面に垂直な成分は最大値の60%程度となることを明らかにすることができた。 これはミアンダコイルの設計において重要な指針の一つである。 以上の検討結果を踏まえれば、家庭内にとどまらず、日常生活空間内で使用可能な移動車輌に搭載すべき二次電池の容量を大幅に低下させることができるだけでなく、使用者が充電作業を意識することなく、自動的に給電が行える安全性の高い給電システムを構築することが可能となると考えられる。
|