空気の振動を間接的に光計測する方法として、大気中浮遊塵からの散乱反射光の振動を計測する方法を研究している。浮遊塵のある場所ならどこでも音場可視化を可能にすることができる。浮遊塵の振動振幅は可聴範囲で100分の1μm-1mm程度(100Hz)であるため、ピコ秒以下の時間精度を必要とするが、フェムト秒以下の極短時間パルス光やPHz帯域の高速電子回路の利用は困難である。そこで等価的に高時間精度を実現する方法としてパルス光ループ発振方式を検討してきたが、受光の脱落の問題がある。今年度は、単一パルス光ごとの伝搬時間計測を繰り返し、統計的手法により高精度時間測定の実現を実験的に検討した。 まず、昨年度作成した、最大10MHzで繰り返し可能なピコ秒ライトパルサー光源による光学系に、高速タイムインターバルアナライザを導入し、単一パルス光伝搬時間計測を可能にした。伝搬時間の分散は70ps程度であったが、1Mサンプル平均で2psの精度が得られた。 それ以上の精度向上のため、パルス光ループ発振方式として伝搬時間加算を行うのであるが、受光の脱落補正として、タイムゲート信号による脱落検出と発信維持を行う。この際、発信維持周期を正常信号周期に近く保持するPLL等価回路を考案した。その動作により単なる平均より高速に高精度の測定を行えることが分かった。 今後の課題としては、より短くよりフォトン数の多いレーザによる実用的な測定精度を得ること、空間操作を行うこと、音振動の3次元成分の検出がある。
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