本研究では、係数励振の安定化制御法を理論的ならびに実験的に構築した。制御則の構築に先立ち、梁に生じる係数励振振動の非線形特性を調べた結果、係数励振振動の安定化は、分岐集合を移動することにより可能なことが明らかになった。この結果を踏まえて、以下に示すいくつかの安定化制御法を提案した。 1.受動型振り子状制振器を用いた係数励振される梁の安定化制御 2.非線形非対称復元力を受ける物体の能動安定化制御 3.能動型振り子状制振器を用いた係数励振される梁の安定化制御 4.圧電セラミクスを用いた係数励振される梁の安定化制御 1の研究は受動的な方法で、振り子状の制振器を梁の先端に取り付けるだけで安定化が可能である。本手法は振り子の支持点に存在する微小な静止摩擦力を利用したものであり、特別なアクチュエ一タを必要としない。しかしながら大きな外乱が存在する場合には、制振効果があまり期待できない。これにたいして、外乱に対するロバストな制御法を1自由度係数励振系について構築したのが2の研究である。振り子をモータによって駆動し、振り子運動による支持点での反力によって能動的な制御力を制御対象に与えている。3の研究は2の研究を拡張したもので、梁に生じる係数励振振動を能動的に制御する方法を明らかにしたものである。2および3の研究は振り子運動の反力を利用しているため、制御系の自由度は非制御系のそれと比較して増加する。これを防ぐため、研究4では圧電セラミクスを用いた制御法を理論的ならびに実験的に提案した。以上、本研究では主として梁に生じる係数励振振動の安定化法について考案を行ったが、今後は提案した手法を発展させてより複雑な構造物の制振に利用しようと考えている。
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