研究概要 |
ビデオカメラからの動画像を利用すれば,人体の動作を接触することなく自然な状態で測定することができる.動画像を利用した測定法では,人体の3次元モデルの利用が一般的となっている.これは,人体のモデルを予め作成しておき,モデルと人体を画面上で一致させることにより姿勢を測定し,この処理を画像毎に行うことにより動作を測定するものである.問題点として,手や足が自身の胴体等によって隠される場合があることが指摘されてきた.そこで,異なる位置に置かれた複数のカメラからの動画像を用いれば,隠れを始めとした種々の問題の解決が期待できる.今年度は実際に多視点カメラシステムを構成し「多視点動画像」による動作測定を試みた.成果は次の通りである. (1)多視点カメラシステムの構成:最大4台までのビデオカメラからの映像を監視カメラ用の4画面分割ユニットにより1枚のテレビ映像に合成するシステムを構成した.カメラは全て同じ同期信号により駆動されている.したがって,全く同じ撮影時刻を持つ多視点動画像が得られた. (2)モデルと人体の3次元照合:単眼画像からではモデルを人体に3次元的に一致させることが困難であった.他方向のカメラからの照合により3次元的一致が可能となった. (3)隠れの解消:人体の前後左右に4台のカメラを配置させることにより,少なくとも1台のカメラに手足が撮影されていることになり,隠れが解消された. (4)動きの縮退の解消:カメラ光軸方向の動きは,見かけの動きが小さいので測定の信頼性が低い.他のカメラからの観測により信頼のある測定が可能となった.
|