研究概要 |
本年度は,研究実施計画に盛り込まれていた以下の3点に取り組んできた. まず第一に,「閉ループ同定とH_∞制御の磁気浮上系への応用」を主題に,不確かさの非保守的な同定と、それに基づくH_∞制御系設計の難点緩和対策について,応用実験を中心に研究を行ってきた.従来結果と比較すると,新たにμ-解析法を用いて磁気浮上系のロバスト制御性能に関する考察を補足し,その結果を昨年9月に開かれたAllerton Conf.で発表した. つぎに,「オブザ-バの設計自由度を周波数整形に活用したILQ設計理論」の一般化を行い,最小位相系に関しては,適用対象を従来の1入出力系から多入出力系にまで広げ,整形可能な相補感度関数のクラスを解析的に表現するとともに,具体的な整形方法を明らかにした.また,その応用実験も行い,上記と同等な制御性能をもつ低次元制御器を設計することにも成功した.本研究成果の一部はシステム制御情報学会論文誌5月号に掲載される予定であり,さらに9月にはIEEEのControl Application Conf.で一般化された設計理論も含めて発表の予定である.そのほか,今後この設計理論を非最小位相系へ拡張する上で重要になる「ILQ最適サーボ系設計法の参照入力と制御対象に関する一般化」にも成功し,その成果は計測自動制御学会論文集3月号に掲載される予定である. 最後に,平成9年度の科学研究費の補助を受け,「DSPを用いた磁気浮上系の実験支援環境の再構築」について研究を開始した.すでにDSP側の制御環境は実現しており,現在ユーザ側におけるGUIベースの支援環境を構築中である.
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