研究概要 |
本年度は,以下の4点に取り組んだ. 1a) 全次元オブザーバの設計自由度を周波数整形に活用したILQ設計法の一般化 1b) 最小次元オブザーバの設計自由度とその制御入力の選定 2) 周波数重み付きH_∞制御器の低次元化 3) ループ整形手法の適用 本研究室では,研究1a)を軸にして,逆問題的アプローチに基づくロバスト制御理論の開発をめざしている.本年度は,適用対象のクラスを多変数安定系にまで広げ,整形可能な相補感度関数のクラスを解析的に表現することに成功した,昨年9月には,その結果をIEEEのContro1 Application Conf.で発表している.また,研究1b)ではこのロバスト制御系を最小次元オブザーバによって構築する方法を提案した.これは,現場における制御系構築を簡単化する. 他方,H_∞制御系設計の難点を緩和するために,応用実験を中心に先進的な研究を行ってきた.研究2)では,実用性を考慮したH_∞制御器の低次元化に着手した.従来の低次元化では重みの選定指針が明らかで十分でなかったので,希望する制御器の整形結果を重み関数に反映させた.その結果,ハンケル特異値の微調整をより効果的に行えるようになった.また研究3)では,ロバスト制御の基本であるループ整形にも取り組んだ.ここでは,低次元な制御器を意図して設計できる重み関数の選定指針を提案している. 本年度の研究成果は,国内外での学会発表が一件づつであったが,現在多くの発表準備が整いつつある.
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