研究概要 |
1)高精度な値集合の推定法に関する検討: 多角形区間演算を用いると,不確かさのパラメータqを含む伝達関数G(s,q)がqに関して完全分割可能な表現(各q_iがGにおいて1回しか現れない表現)である場合には高精度な値集合の推定得ることが出来るが,そうでない場合には,値集合の推定は過大なものになる可能性がある.完全分割可能な表現が得られない場合でも,多くのシステムにおいて,G(s,q)は,幾つかの独立な不確かさのパラメータq^iの完全分解可能な表現p_i=G_i(s,q^i)を中に含み,p_iが,G^^<^>(s,p)=G(s,q)において複数回現れるという構造を持つ場合が多い.この場合,p_iは,多角形区間演算によって計算され,結局ある多角形を定義域とする変数と考えられる.このような問題設定において,多角形の内部の点は値集合の境界には写像されないことを証明でき,多角形の辺で値集合の境界へ写像されるものを探索すればよいという段階まで問題を絞り込むことができた.現在は,それを効率よく求める問題について検討している状況である. 2)制御器のパラメータの許容領域の算出: ロバスト仕様を満たすPID制御器の許容パラメータの許容領域の算出に関しては,周波数帯によって計算方法を変える方法が非常に有効であった.しかし,この方法は位相進み・遅れ要素に関してはあまり有効ではないことが判明した.そこで,位相進み・遅れ要素G(s)=a_k(1+T_1s)/(1+T_2s)の2つのパラメータT_1,T_2を同時に管理するために,T_1-T_2平面の多角形の積集合の演算を用いることを検討し良好な結果を得た.また,これをPID制御器の許容パラメータの許容領域の算出にも適用し,以前の方法よりも効率良く計算できるようになった.さらに,これらの結果を利用して,2自由度制御系の設計のためのCADシステムの開発を行った.
|