計測・制御工学の分野においては、水道・ガスの配管系における管の長さ計測を始めとして、長さの直接計測が困難な場合が非常に多い。この観点から本研究課題では、まず初年度の平成9年度、音響センサを用いた「管の長さオンライン自動計測システム」を研究・開発したが、本年度は、石油パイプラインや原子力発電プラント等を始めとする数多くの配管系における、腐食などによる穴あき箇所の検出や管内に詰まった異常物体の位置決定などを行う「管のオンライン異常モニタリングシステム」の研究・開発を行った。 まず後者に対しては、管に音響信号を入力し、このとき得られる反射波を解析することにより、配管の形状及び長さ計測と合わせて異常の箇所が検知・認識できるようにした。そのための基礎的なツールとしては、(1)送波器、受波器の入出力特性を解析することにより得た反射波のモデルを用い、受波器に得られる数多くの重畳反射波を互いに分離する方法、(2)反射波の入手状況をマップにまとめる受波時刻マップの考え方を用いた。この提案方式では、配管の形状パラメータとして、長さのみでなく反射係数や透過係数なども考えているため、異常物体のサイズや奥行きなどの情報も得られる。 次に前者に対しては、とりあえず直管に限定してはいるものの、管の長さ計測と合わせて穴あきの箇所の位置決定ができる計測システムを開発し、現在穴が複数空いている場合を検討中である。
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