管内異常物体の形状や位置を高精度に計測するには、まず管の形状や長さを高精度に計測することが必要である。この観点から本年度は、管内に生じる高次モードの定在波を(管情報を供給する)状態変数に、また残りのモードを雑音にみなすシステム工学的アプローチにより、直管の長さをリアルタイムで高精度に計測する手法を開発した。 また、本方法を直管のみでなく、湾曲管や分岐管にも適用できるようにするとともに、管形状の認識や計測も行えるようにした。更に、これらの方法では定在波の大きさが余り減衰しない範囲のデータ、つまり準定常状態時の音圧変動データを用いることにしていたが、これを減衰が無視できない長期のデータウインドウにも拡張使用できるようにした。 これと平行して、パルスエコー法を用い、未知の配管に異常物体が含まれているときの異常物体の形状(厚み、断面積)や位置、更には配管の形状や長さ計測を行う手法を開発した。 よって、これらの方法を適切に使い分ければ、(1)配管の接合部のずれや配管の陥没、更には穴空きなどを始めとする種々の配管異常モニタリング(これらは全て管形状の識別、長さ計測に帰着される)や、(2)管内の異常物体が含まれているときの異常物体の形状や位置計測が効果的に行えることになり、所定の研究目的がほぼ達成された。
|