近い将来に取得される衛星観測データから、地表の積雪物理量を推定する手法を開発するために、以下の二つの研究を行った。 1.多周波マイクロ波放射計は、周波数と偏波の組み合わせの異なる複数のマイクロ波を観測する受動型センサであり、2000年に打ち上げが予定されているADEOS-11に搭載されるAMSRもその一つである。AMSRの5つの選ばれた周波数で観測したデータから、2つの異なる積雪パラメータを抽出するためのアルゴリズムの有効性を調査した。調査の結果は、アルゴリズムが広域の積雪の深さと粒径を計測するために有効であることを示した。 2.合成開口レーダの観測によって得られる複数のマイクロ波映像に含まれる位相情報を利用して積雪パラメータを推定する手法を開発した。LバンドのインターフェロメトリックSAR(InSAR)が、層構造をもつ積雪を観測したときに得られるデータのシミュレーションと解析を行った。解析の結果は、積雪層の境界からの散乱の影響は大地からの散乱の影響に比べて小さく、Lバンドの周波数を利用するInSARは積雪の深さを精度良く計測するために有効であることを示した。さらに、積雪の深さの空間的な分布を干渉縞を用いて視覚化することが可能なことも明らかになった。
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